仙腸関節の痛みについて
RETHREEの湯本です。前回は、産後の骨盤の状態変化とケアについて、20年以上勤務した医療機関で培った知識を基に、理学療法士の視点から詳しく解説しました。今回は、産後のお悩みなどで多い仙腸関節の痛みについて詳しく解説します。自宅でできる対策とセルフケアも記載しましたが、ご自身の体調と相談しながら、無理のない範囲で進めていきましょう。
仙腸関節(せんちょうかんせつ)の痛みは、お尻にある骨盤の関節「仙腸関節」に負担がかかり、炎症や微小なズレが生じることで起こる痛みです。原因不明とされてきた腰痛の約2割〜4割程度が、この仙腸関節が原因ではないかと言われています。
以下に、症状の特徴や原因、対策をわかりやすくまとめました。
1. 仙腸関節ってどこにあるの?
骨盤の中心にある逆三角形の骨「仙骨(せんこつ)」と、左右の大きな骨「腸骨(ちょうこつ)」をつなぐ関節が「仙腸関節」です。 上半身の重みを下半身へ伝える「体の土台」ですが、本来は数ミリ程度しか動かない、強力な靭帯でガッチリと支えられた安定した関節です。

2. こんな症状はありませんか?(特徴とチェックリスト)
仙腸関節痛は、腰の少し下(お尻の上のほう)に症状が出やすいのが特徴です。
- 痛む場所: お尻の「えくぼ」のあたり。左右どちらか片側に起きることが多い。
- 放散痛: 痛みが太ももや足の付け根(鼠径部)、ひざ下まで広がることもある。
- 出やすいタイミング:
- 長時間座ったあとに、立ち上がろうとした瞬間
- 朝起きたとき、布団から起き上がるとき
- 痛むほうを下にして横向きで寝ると痛い
- 階段の上り下り、歩行時
- 「ワンフィンガーテスト」:お尻の痛む場所を指1本で正確に指し示すことができる
3. なぜ痛むの?(主な原因)
関節が「グラグラに緩む(過可動)」あるいは「硬くて動かなくなる(低可動)」ことで、周囲の靭帯や神経が刺激されて痛みが発生します。
- 姿勢や日常の癖: デスクワークで猫背になる、いつも同じ脚を組む、片側にばかり体重をかけて立つ。
- 妊娠・出産: ホルモン(リラキシン)の影響で骨盤の靭帯が緩み、産前産後に負担がかかる。
- 急な衝撃や動作: 尻もちをつく、スポーツでの激しいひねり動作、重いものを中腰で持ち上げたとき。
4. 自宅でできる対策とセルフケア
① 痛む動作や片側荷重を避ける
- 椅子に座るときは足を組まないようにし、左右の坐骨に均等に体重をかけます。
- 重いものを持つときは、腰を曲げて持ち上げるのではなく、一度ひざを落としてから立ち上がるようにします。
② 骨盤ベルトの活用
- 妊娠・産後の方や、動くときの痛みが強い場合は、骨盤ベルトを着用して関節を安定させると楽になることがあります。
- ※きつく締めすぎず、骨盤のやや低い位置(大転子のあたり)に正しく巻くことが大切です。
③ お尻の筋肉(梨状筋など)のストレッチ
※痛みが強い急性期は避け、少し落ち着いてから「痛みのない範囲」で行ってください。
- 仰向けに寝て両ひざを立てます。
- 痛むほうの足を反対側の膝にのせます(数字の「4」の字のような形)。
- 反対側の太ももの裏を手で抱え、胸の方へゆっくり引き寄せます。
- お尻の奥が伸びているのを感じながら、深呼吸をしながら30秒キープします。
5. 医療機関での治療法
セルフケアで改善しない場合や痛みが強い場合は、整形外科やペインクリニックを受診します。
- 薬物療法: 消炎鎮痛薬(湿布や飲み薬)で炎症と痛みを和らげます。
- 仙腸関節ブロック注射: 関節のまわりに局所麻酔薬などを注射し、痛みを止めると同時に、それが本当に仙腸関節からの痛みかを見極める診断も兼ねて行われます。
- リハビリテーション: 理学療法士による骨盤周りのバランス調整や運動指導を受けます。
もし、足に強いしびれや麻痺がある場合、あるいは発熱を伴うような痛みの場合は、他の疾患(腰椎の病気や感染症など)の可能性もありますので、早めに専門医へご相談ください。
こちらで紹介した自宅でできる対策とセルフケアは、一般的な方法をご紹介しました。一人ずつ状態は違うものです。そのため、詳しく知りたい方はお問い合わせください。
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